いつも、自分の舞台を
それなりに、華々しく…演じていたつもり…。
錯覚なんですね。
すべては たんなる錯覚…。
だれひとり…他人の演技など観ているものなんていやしないのです。
だれが…なにを、どのように演じようと…だぁ~れも、関心がありません。
そうして…ひとつ、ひとつ…を、思いおこしてみれば…
観客の誰もいない舞台にたって…ひたすらの、独り芝居…
独り芝居の、一幕、一幕…を、幕が上がるたびに、演じてきたように思う。
恋をして、わかれ…
愛をして、憎しみ…
緞帳のあがるたび…ぶっつけ本番…どんなにか下手な芝居でも
どんなにか、みじめな芝居であっても
ほうりだすことも、ふたたびやりなおすこともできずに…
ぶっつけ本番…
だから、いつも、必死だった。
でも…だれひとりとして
ふりむいて観てくれたものはいなかったのですね。
それでも、いつも、いつも…観客を意識しながら…
つたない…演技を
観客の誰もいない…独り芝居…を…
そうですよね、ひとは…だれも…自らの芝居に一生懸命…
他人の芝居など…観ている暇など、あるわけはありません。