鳥のように自由にありたい…Free as a bird

桑原特許事務所 - 鳥のように自由にありたい…Free as a bird
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春きざす :KUWAHARA

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鷽は、鷽替えの神事などから、なんとなく敬遠されるきらいがなくもないが、いにしえ、その透き通る囀りが口笛に似て、口笛の古語「うそ」に、その名を由来するものといわれている。

雪国が、まだ、すっぽりと雪にうまっている庭先の桜に、ひっそりと佇むように、口笛にも似た哀感のしらべ豊かに鷽は囀り、雪国に春のきざしをつげる。

なんとなく、電車に乗って、なんとなく二宮に、駅舎をあとに、駅舎の裏手の丘にのぼる。
北の風が雪雲をひきつれ、南の雨雲といれかわり、三寒四温のもどり寒、ささやくような鷽の鳴き声。
「もう、春…ね。
そう云って、妻の指さす桜の小枝に、照鷽、そして、その先に、雨鷽、群れて4,5羽、いずれも、無心に桜の蕾をついばみ、春をさえずっている。

ついばみを止め、すっと、眼のあった照鷽の頬の紅に陽がさし、陽がさり、妻がつぶやいた。
「ことしは、ルビー婚式…ね。」

北の雪雲のあとに、紺青の空が続き、やや北に動き出しはじめた太陽は、いちはやく、雪雲から抜け出そうとしている。
(ひたすら、桜の蕾の芯をついばむ鷽)