風薫る :KUWAHARA 栃の花が終わり新緑が日に日に濃さをましゆくころ、小鳥たちの巣立ちが始まる。繁りゆく若葉に隠れるように巣立った雛が一段と姦しさをます。巣を離れてしまった雛は、その独特の鳴き声で自らの所在を親に告げなければ、餌を貰うことができない。その姦しさには、自らの生存がかかっている。郷里からいただいた根曲がり竹の皮剥きをしていた窓辺の騒々しさに、つと窓をあけたら、ヤマモモの樹間にシジュウカラとスズメの雛がいた。 ねまがりたけ