春から夏に
育雛を続けたツバメ達
シーズン最後であろう雛も
もう 巣立ち間近
丘の上の小さなレストラン
くりぬかれた窓には
もう あんなにも高い空
そして ただよう雲
あしたには
ただよう雲に いざなわれ
すみわたった おお空に
あざやかに
そして 一直線に
雛は飛び立つのだろう
人間のぬくみに
人間の生活のうちに
すっぽりと
溶け込むように
泥と枯れ草とを
唾液で壁にぬりつけ
そうして
漆喰づくりの
ぬくみに満ちた
小さな巣ができる
それは
遠い南の国の
人なつっこくも
あったかい
ふるくからの
風習でもあるかのように?
レストランの窓越し
さかんに飛翔するツバメ
それは
しばし
南の国の匂いを運び
ぬくもりに満ちた風を運ぶ