晴天に誘われ、バンのつがいのいる沼まで足をのばした。
甲高いバンの警戒の鳴き声がして、巣立ちを確認したのだけれど、バンの姿は、まったく、見うけられないで、ただ、葦の葉ずれの音だけ、やがて、陽の落ちかけるころ、葦の隙間から、ちょっとだけ、外をうかがうバンの親子。
?このバンの育雛場所は、広漠とした丘陵の沼である。沼を覆う樹木はもちろん、バンの行動を隠蔽するものは、なんにも存在していない。
沼は、平坦な窪地に水が溜まったもので、その沼の一部に葦の群がある。
日陰の無い沼畔で、バンを待つのは、ものずきな私とカラスだけ、追い払っても追い払ってもカラスの群は、時間とともに、数を増している。
?都市部のカラスも郊外の都市化にともなって、この近辺、比較的大きな群をなしている。育雛期の小鳥にとって、本来の自然界における天敵にかわる最大の天敵になっている。
?こちらに来て、みつけたカルガモの育雛沼も、カラスが多く、孵化した、ほぼ、9割近くが、カラスに捕食されてしまっているらしい。
日々の生活にもっとも近い、ツバメすらも、人間の生活圏から離れて営巣した場合、その、ほとんどが、カラスで、育雛を断念しているようにみうけられる。
?きょうは、人出が少なかったこともあってか、カラスを恐れたバンは、ほぼ、終日、群生している葦から外にでることがなかった。