季語としての鳰(カイツブリ)は冬の季、さりながら、私が鳰に関心を抱くのは、なぜか、この初夏の育雛のひととき。冬季に鳰に関心を抱くことは殆ど無い。また、滅多に、眼にすることも無い。
初夏のこの季節、カイツブリは、その特有の育雛と、育つ雛の独特の鳴き声に、多くの人達の耳目を惹きつけてやまない。その小さな体躯で懸命に育雛する様は、多くの愛好家を生む要因となっているように思う。
私の知る国内の水鳥では、たぶん、最小の鳥類に属する鳰、その懸命な育雛には、いつも新鮮な感動をうける。この時期、ほうぼうの湖沼を訪れて、鳰の親子を探し、終日、餌をねだる雛の鳴き声を聴きながら、心のリフレッシュをはかる。