今年は大切なひとを次々にみおくることになってしまった。
そうして、暑い夏を過ぎ、身辺のしずかになったおり、身のまわりの整理を真剣に手を緒けねばと考えつつ、師走が、眼の前に。
きょうは、手をつけていなかった山道具を引っ張り出し、廃棄の段取りを、あれこれ思案している間に、夕刻になってしまい、ザックや、シュラフや、オーバーシューズなど、明日、廃棄可能なグッズを、かろうじて、ひと山分、分別する。
そして、つい懐かしく処分を保留していた、使い古しのピッケルやアイスバイルなどのギアの一部も収納から引き出し、廃棄処分の箱に移し替える。
山道具など、お財布の関係で、なかなか手のだし難かった時代、ひとつづつ思案しながら購入したグッズには、それぞれに、想い出がつまっている。
このピッケルも、冬の富士登山に際し、当時、人気のシモンを選ばず、ぎざぎざの鋭いピックと薄い刃状のブレードを持つカシンを、あえて選択、買い直し、ながく愛用し続けたもの。
日本の山行では、氷瀑でもクライムしないかぎり、実際には、どうでも良いことなんですが、あの当時は、そうした些細なことに、限りないロマンを抱き続けていたようです。