みかん熟る 桑原特許事務所 かって、錦秋の秋の、それにもっとも相応しい山行最後の連休だったはずの文化の日なのに、なんとなく、丘にとどまって過ごしてしまった。 木枯らしのような昨晩とはうってかわって、まどろむような日向のぬくもり、この丘の蜜柑が、いっせいに色づきだし、遠景の東京が、なんとなく、くすんで感じられる。 熟れつく蜜柑たち、それは、枯れゆく季節のひとときを、色づきながら、この丘に、しばし、命の漲りをもたらし、読み残しの書をひらかせてくれる。