武蔵野のはしっこ、そこに連なり起立する多摩の丘陵には多くの湧水がみられる。当地に引っ越してきた当時、散歩でまわる神社のいっかくに東京名湧水57選のひとつがあった。当時は、誰ひとり訪なう者も無く、こんこんと湧き出す湧水をお散歩のつど美味しくいただいていたのだが、いつのまにか有名になったらしく、ポリタンクを携えた沢山の人々がならぶようになっている。ここにはまた、不思議な洞窟があって、その出入り口に弁財天が、祀られている。いにしえより人の暮らしが連綿と続く武蔵野には、その時代その時代の生きた証が埋もれきることなく、そこはかとなく残されている。
ニホンズイセン
弁財天と洞窟