わけもなき怒り柘榴に堅き芯
これといった、かくたる意図もなく、なんとはない、なりゆきで手を染めた俳句、最初に出っくわしたのが桑原武夫の第二芸術論。
議論のつきたころ、気がつけば山岳部まがいの研究会、丹沢の水無川の出合いに常設のテントを張って、句作考ならぬ各谷筋の棚の攻略に夢中になっていた。その仲間が、五十有余年、連綿と俳句でつながっている。
芸術論はさておき、俳句には、おりおりの作者の心情がおりこまれ、その心情を共有しあうことで、確たる友情を醸成し続け得る何かが存在しているような気がする。