それは まだ 青春を謳歌できた時代
送られてきた一通の切符
八個目の無人駅におりたった
そこには 一軒のホテルのみ
貌の無いドアマン
貌の無いベルボーイ
夜景を見ながら 珈琲啜っていると
「お口にあいましたでしょうか?」
貌の無いシェフ
戻ったルーム ブーケに一通のメッセージ
「バー 最上階のいちばん奥、窓際シート予約してあります。」
細く 流れるように書かれている
激務に翻弄されて
それも もう 遠い日々の記憶
終着駅 列車は あまたの引込線のただなかに ひっそりと ただ ひっそりと眠りついていた。