かぞえきれない記憶を曳きずりながら
さすらう 五月の風
記憶がなければ
もっと 自由なんだろう
記憶がなければ
かがやきにみちて
あしたが あるような気がする
そう 感じながらも
小函のうちに遠い記憶を封じ
小函の蓋にわずかな隙間を
最近、漱石の「こころ」が読まれているらしい。
馬鹿馬鹿しいって思っていたのに
あれはあれで意味のある齢(よわい)になってしまった。
消してゆく記憶
消えて行く記憶
消されてゆく記憶
記憶がなければ
もっと
ひとは 自由でおられるのかもしれない。
Category: つれづれの記: 桑原