小鳥来る…は、秋の季語。渡り来る小鳥たちに心情を託そうとするものである。凌ぎきれない寒さをのがれ、あるいは、採餌できない不毛の地をはなれ、あるいは、子育て後の休息の地をもとめ、はるかな旅をする小鳥達に、みずからの想いを、あれこれ託してみる。
ジョウビタキを最初に眼にしたのは、都心から引っ越した年の秋口、公園の砂場で、雄のジョウビタキが、かなり激しい縄張り争いをしていた。渡りは、たんなる長旅で終わるので無く、渡りつくと同時に、新しい生活環境を作り出さねばならない。それは、渡り以上に厳しい生存競争なのかもしれない。以来、ジョウビタキを見かけると、つい縄張りの有無を確認するようになった。
暖かい陽射しを浴びながら柿の枝払いをしている方から、ひと枝をいただき、実を蔕の小枝が残るようにカット、ザックリと剥いて吊す…渡りをしない人間…柿を剥きながら考えている。
Category: つれづれの記: 桑原