十五夜には、祖母が、東向きの縁側に文机を出し、お団子やお芋などのお供えやススキなどの飾りつけをして、お月さまのお迎えをしていた。
そんな、遠い日のことが走馬燈のようにかけめぐる月の出の17時59分には、もう丘の上にたっていた。
ところが、東に厚い雲があるのか、月の出を過ぎても、なかなか、お月さまはあらわれてくれない。
そうして、待つこと、しばし、かなりの角度で、す~って、お月さまは雲から、ようやくに姿をあらわした。
ビル街を通勤の通路としていたころと違って、こちらに引っ越してから、お月さまは、いつも身近に存在する日々の風景の一部となっている。
それでも、やはり、十五夜には、遠い日のふるさとと重なる独特の思い入れが数多く、つい、丘の上に駆け上がって、ひとり、お月見をするのを楽しみにしてる。