鳥のように自由にありたい…Free as a bird

桑原特許事務所 - 鳥のように自由にありたい…Free as a bird

冬かおる :KUWAHARA

dscn1893どこよりともなく、蝋梅…そう思って、境内のあちこちを歩き回っていたら、出征軍人を称える碑に添うように一木の蝋梅があった。
確かな印象で蝋梅にであったのは、東京在住後半期、浜離宮に正月の散策にゆくようになってからだった。
寒のひだまりに、しばしを憩うとき、どこよりともなく、馥郁とした香り、その印象は、かなり強かった。
以来、東京を離れるまで、ほぼほぼ、お正月には、この薫りを求めて浜離宮を散策するのを習いとしていた。
当地に引っ越していらい、ときおり、蝋梅の薫りにふれながらも、さほど心に残ることもなかったのは、それらは、いずれも、どこかの、個人の庭先に、ちょっとだけ植えこまれていたためかもしれない。
蝋梅は、あくまでも、冬の日溜まりにあって、どこよりともなく漂うもの、そんな、感覚がある。その存在感の無いところが、蝋梅の蝋梅たるところ、そんな、勝手な思い入れの強い花かもしれない。
人の気配のまったくしない深閑とした境内の、どこよりともなく香る馥郁たる蝋梅、ひさしく親しむ蝋梅に、いくばくかの記憶をのっけてみる。